長年地域に根ざしてきた歯科医院であっても、ある日突然経営難へと追い込まれるケースが目立ちます。取材を通じて浮かび上がった倒産の決定的な3大要因は以下の通りです。
第一に、「患者獲得競争の激化と診療単価の二極化」です。虫歯患者自体が全国的に減少傾向にある中、従来の「削って詰める」保険診療中心のクリニックは患者数の確保に苦しんでいます。予防歯科や自費診療の拡大にシフトできた医院が高収益を維持する一方、旧来型の診療スタイルのままの医院は深刻な赤字に直面しています。
第二に、「過剰な設備投資による借入金の圧迫」です。近年の歯科医療では、歯科用CT、マイクロスコープ、口腔内スキャナー(CAD/CAMシステム)といった数千万円規模の最新デジタル機器の導入が集患の必須条件になりつつあります。多額のローンを組んで設備を揃えたものの、想定通りに自費診療が伸びず、返済に行き詰まるケースが後を絶ちません。
第三に、「歯科衛生士の人手不足と採用費用の高騰」です。国家資格を持つ歯科衛生士の有効求人倍率は高水準が続いており、中小医院では募集を出しても何ヶ月も応募がない状況が珍しくありません。スタッフ不足でユニット(診療台)をフル稼働できず、売上が減少して維持できなくなる「人手不足倒産」が現場を直撃しています。