最愛の息子の死という筆舌に尽くしがたい痛切な別れから長い歳月が経過した現在、秋吉久美子さんは静かに、しかし力強く表現者としての道を歩み続けています。
近年は映画や舞台での重厚な演技に加え、自身の人生観や芸術論を語るトークショー、詩やエッセイの執筆活動など、年齢を重ねたからこそ表現できる円熟の境地を見せています。早稲田大学大学院で学んだ知性をベースに、社会問題や文化振興に関する発信も精力的に行っています。
悲しみを完全に消し去ることはできなくとも、その痛みさえも自身の血肉とし、スクリーンや舞台の上で命の輝きへと昇華させる姿は、多くの同世代や後進の俳優たちに深い勇気を与えています。