彼女の魅力を語る上で外せないのが、ジャンルを問わない圧倒的な振れ幅である。心に傷を抱えた人間の細やかな機微を繊細に紡ぎ出すヒューマンドラマで見せる涙は、観客の感情を揺さぶり、共感の渦に巻き込む。一転して、真犯人の影が蠢く重厚なサスペンス・ミステリーにおいては、冷徹さと危うさを同居させた怪演で画面全体の緊張感を跳ね上げる。
セリフのない数秒間の「間」や視線の動きだけで恐怖や悲しみを表現する技術は、同業の役者からも一目を置かれる。ジャンルに縛られず、あらゆる物語の深度を引き上げる稀有な表現力こそ、彼女が引っ張りだこである最大の理由だ。