東宝の配給で公開された『映画 昼顔』は、西谷弘監督の手により、ドラマ以上の美しさと狂気が同居する映像美で構築された。海辺の小さな町で静かに暮らす紗和の前に、奇跡のように現れた北野。二人は「会うだけ、話すだけ」という約束を交わしながらも、再び互いの存在なしでは生きられない深みへとハマっていく。だが、その運命の結末はあまりにも残酷だった。
北野の妻・乃里子の執念と絶望が暴走し、車ごと崖下へ転落するという最悪の自動車事故が発生。北野は命を落とし、紗和のもとには命の灯火が消えた愛する人の骸だけが残された。しかし、この絶望的な幕切れの裏には、巧妙な伏線が張り巡らされていた。北野が紗和に贈るはずだった婚約指輪が百日草の咲く草むらに隠されていたこと、そしてラストシーンで紗和のお腹に宿っていた新しい命。ホタルの儚い光と重なるように、死によって分断された愛は、新たな生命の誕生という形で永遠の結びつきを得たのだ。ハッピーエンドとは程遠い劇薬のような愛の到達点である。