松本明子の節約術といえば、まず頭に浮かぶのが「モノの寿命を極限まで引き延ばす」徹底ぶりだ。伝線したストッキングを掃除用具として再利用するのは序の口。彼女の辞書に「使い捨て」という文字はない。一度役目を終えたように見えるアイテムに、新たな価値を見出して二度、三度と働かせる。この徹底的な執念は、大量消費社会に対するアンチテーゼのようにも思える。
「まだ使えるものを捨てるのは、自分自身の可能性を捨てるのと同じ」。かつて彼女が口にした言葉には、単なるケチを超えた、モノに対する深い敬意が宿っている。私たちの日常には、まだ使えるはずのものが溢れていないだろうか。彼女の姿勢は、私たちの「捨てる基準」を根本から揺さぶる。