『Water Fruit』の誕生は、篠山紀信氏の熱烈なアプローチと、樋口可南子さん自身の覚悟が交差した瞬間にありました。篠山氏は生前、「隠すこと自体が不自然であり、女性の肉体をありのままに捉えることこそが写真の本質」という強い信念を持って撮影に臨んだと語っています。
樋口可南子さんがヌード撮影を決断した理由について、彼女自身は後に「30代という女性として最も充実した時期の自分を、最も信頼する写真家の手で残したかった」という趣旨の思いを明かしています。誰かに強いられた露出ではなく、自らの意思で選び取った自己表現だったからこそ、被写体としての眼差しには迷いが一切ありませんでした。
撮影現場となったバリ島では、南国の光と影を活かした過密なセッションが展開されました。自然光の中で捉えられた彼女の姿は、水滴や空気感までをも味方につけ、観る者に息を呑むような感動を与えました。この強固な信頼関係があったからこそ、時代を動かす伝説のマスターピースが完成したのです。