本事件の異質さを物語るもう一つの側面が、騙し取られた巨額の資金の行き先だ。詐欺によって得られた資金の大部分は、歌舞伎町をはじめとするホストクラブ業界へ流れ込んでいた。担当ホストに対する過剰な売上貢献、いわゆる「担当育て」や「売上バトル」のために資金が浪費されていた事実が明かされている。
被害者側から見れば、騙し取られた金銭が速やかに夜の街へと消えてしまったため、民事訴訟や民事執行手続きを通じた被害賠償の実現は極めて困難な壁に直面した。不法行為による損害賠償請求権が認められたとしても、被告本人に返済能力が残っていなければ実質的な救済にはならない。ホストクラブ側の道義的・法的責任や、売上金の没収・追徴を巡る議論は、社会・事件ニュースの文脈において今なお燻り続けている。