日本テレビ系『金曜ロードショー』などで本作が放映されるたび、X(旧Twitter)のタイムラインを埋め尽くすのが「帝のアゴ」にまつわる投稿です。横顔が映し出された瞬間に際立つ鋭角な顎のラインは、視聴者の間で「画面が切れそう」「鋭角すぎて刺さる」「角度にして約45度」などと大いにネタにされ、ジブリ屈指の愛されキャラとして不動の地位を築きました。
なぜここまで極端なデザインになったのか。その理由は、本作が徹底して追求した「平安絵巻の様式美」と「アニメーションとしてのダイナミズム」の融合にあります。作画を手掛けた小西賢一や田辺修をはじめとするスタッフ陣は、平安時代の絵巻物に見られる下ぶくれや引き目鉤鼻(ひきめかぎばな)といった伝統的な造形をベースにしつつ、帝の持つ「自己愛と世俗の頂点に立つ傲慢さ」を戯画化して表現しました。
画面の中で帝が首を反らせ、自信満々に微笑む横顔を際立たせるため、誇張されたアゴの造形が選ばれたのです。結果としてそのデフォルメは、見る者に強烈な違和感とインパクトを残し、10年以上経った現在でも語り継がれる名ビジュアルとなりました。