西伊豆・土肥温泉の温泉街にたたずんでいた土肥ふじやホテルは、落ち着いた佇まいと行き届いた接客で長年親しまれてきた中規模の老舗旅館です。しかし、複数の要因が積み重なった結果、事業継続が困難となり閉館・倒産という苦渋の決断に至りました。
背景には、日本の温泉地全体が直面した構造的な変化があります。昭和後期から平成初期にかけて主流だった大型宴会や団体旅行の需要が急速に減少し、個人旅行や少人数ステイへのシフトが加速しました。土肥ふじやホテルでも個人客向けにリノベーションを実施し、サービスの刷新を進めていましたが、老朽化した大型設備の維持管理費や耐震補強に伴う投資負担が重くのしかかりました。
さらに決定打となったのが、近年の突発的な観光需要の激減です。客足が途絶えた期間の固定費負担に耐え切れず、金融機関との調整や資金繰りが行き詰まったことで、法的手続きを経て歴史に幕を下ろす形となりました。