一方で、映画を取り巻く生態系は激変した。NetflixやHBO Maxといった世界的ストリーミングサービスは、アルゴリズムによって視聴者の好みを細分化し、消費を加速させる。観客が何を見るかは、もはや批評家の言葉ではなく、機械学習のレコメンドエンジンによって決定される時代だ。
だが、AIが提示する「あなたへのおすすめ」は、真の意味での映画体験を保証するだろうか。視聴データに基づいたコンテンツ生産が主流となる中、作品の深層にある政治性や美学を掬い上げるシネマレビューの役割は、むしろかつてないほど切実になっている。数字に還元できない映画の魅力を語る言葉こそ、過剰なコンテンツ消費への抗体なのだ。