服部晴治氏が広告史において特筆される最大の理由は、「広告映像とポピュラー音楽の完全同期」を成し遂げたプロデュース手法にあります。それまでのCM音楽は単なるBGMに過ぎませんでしたが、服部氏はレコード会社やアーティストと直接交渉を重ね、CMソング自体をオリコンチャート上位へ送り込む革新的なメディアミックスを定着させました。
飲料メーカー、大手自動車会社、通信インフラ企業など、日本を代表するナショナルクライアントのキャンペーンを次々と成功に導いた実績は、当時の業界誌や受賞記録にも色濃く残されています。タイアップした楽曲がミリオンセラーを記録するケースも珍しくなく、音楽シーンのトレンドセッターとしての役割も果たしました。
当時の制作現場を知るCMディレクターは、過去の業界インタビューで「服部さんは単なる広告マンではなく、アーティストの魂とクライアントの事業価値を両立させる希代のバランサーだった」と回想しています。妥協を許さないクオリティ追求と、関わるスタッフ全員のモチベーションを高める采配は、現在も広告制作の理想形として語り継がれています。