大手Q&AサイトやSNSに寄せられる保護者の声と、小児歯科医への取材で得られた臨床現場の実態を突き合わせると、保護者の認識と医学的現実との間にいくつかのギャップが浮かび上がってきます。
SNSや育児掲示板では、次のような切実な投稿が散見されます。
「小1の娘ですが、周りのお友達はみんな下の歯が抜けているのに、うちの子は1本も抜ける気配がありません。発達に問題があるのでしょうか?」(大手知恵袋投稿より要約)
「乳歯が抜けていないのに、後ろから大人の歯が生えてきて二重歯列になってしまいました。慌てて小児歯科へ駆け込みました」(X/旧Twitter投稿より要約)
こうした声に対し、都内で小児歯科診療を専門に行う歯科医師への取材データによると、次のような現場実態が明らかになっています。
「生え変わりの開始年齢は、早い子で4歳台後半、ゆっくりな子で7歳を過ぎてからというケースもあり、実に2年以上の幅が存在します。成長スピードの差だけで発達の遅れを心配する必要は全くありません。また、下の前歯が抜ける前に永久歯が裏側から生えてくる現象は『エスカレーター萌出』と呼ばれる極めて一般的な生理現象です。舌の圧力によって自然と前方に押し出され、乳歯がポロリと抜けて正しい位置に収まるケースが大半を占めます」
ネット上の情報に振り回されて不要なパニックに陥る前に、客観的な臨床実態を正しく知ることが重要です。