白くふっくらとした巨体に、頭には烏帽子のような葉を乗せ、赤い前掛けを締めた姿が印象的なおしら様。作中では大根の神様(農業・作物の神)として描かれています。豊かな実りを象徴するようなその体躯は、見ているだけで安心感を与える独特のフォルムを持っています。
名前の由来となったのは、東北地方(特に岩手県や青森県)に古くから伝わる「オシラサマ信仰」です。伝承におけるオシラサマは、農耕の神であると同時に「蚕(かいこ)と馬の神」としても知られています。娘と馬の悲恋を描いた「馬娘婚姻譚(ばじょうこんいんたん)」をルーツに持ち、桑の木で作られた男女一対の御神体に色鮮やかな布を重ね着せて祀る、非常に厳かで神秘的な民間信仰です。
宮崎駿監督は、この土着の信仰が持つ純朴さと霊性を巧みに取り入れつつ、アニメーションならではの親しみやすいビジュアルへと昇華させました。日本古来のアニミズム(万物に魂が宿る思想)を体現する存在として、おしら様は油屋の来訪者たちの中でも特別な風格を漂わせています。