もしも「左に味噌汁、右にご飯」と逆向きに配膳してしまった場合、単に食べづらいという問題だけでは済みません。日本の伝統的な慣習において、逆の配置は「不吉で縁起が悪い」と強く忌避されるからです。
最大の理由は、逆の配膳が葬儀や仏事の儀法(逆さ膳・枕飯)と重なる点にあります。日本では古来より、亡くなった方の枕元に供える「枕飯(まくらめし)」や死者への供養膳において、日常とは左右を逆にした配置を行う風習があります。これは「この世とあの世は逆転している」という死生観に基づき、日常の秩序をあえて崩すことで生者と死者を区別するための作法です。
そのため、生きている人の食卓でご飯と味噌汁を逆に並べる行為は「死者の膳」を意味し、家庭内や会食の席で厳重なマナー違反と見なされてきました。「たかが器の位置」と思われがちですが、無意識のタブーを避けるためにも正確な位置関係を身につけておく必要があります。