見た目が似通っている両者ですが、フライパンの中で行われている調理プロセスは対極的です。ソースの骨格を決める「肉」「水分」「調味料」に顕著な差が現れます。
第一の違いは、肉の選び方と挽き方です。ボロネーゼは牛粗挽き肉(または角切りに近い牛肉)を使い、肉本来の強い旨味と弾力のある噛みごたえを引き出します。ミートソースでは豚肉と牛肉を合わせた合挽き肉が主流で、豚肉の柔らかな脂身と牛肉の風味がバランスよく溶け合い、口当たりの優しい仕上がりになります。
第二の違いは、ボロネーゼの赤ワインとトマトの比率です。ボロネーゼは肉を焼き固めた後、たっぷりの赤ワインを注ぎ込んでじっくり煮込み、トマト(トマトペーストやホールトマト)はあくまで肉の旨味を引き立てる補助役として少量に留めます。肉の重厚なコクと渋み、芳醇な香りが主役です。
対するミートソースは、トマト缶をベースに煮込む水分量が多めの設計です。ここに加わるのがミートソースのケチャップと砂糖の甘みであり、玉ねぎの甘みと相まって、子どもから大人まで誰にでも好まれるどこか懐かしくまろやかな甘酸っぱさが完成します。