ウェブ上の旅行記やSNSには、実態と異なる情報が散見されます。現地取材と常連ガイドへのヒアリングから、初心者が陥りがちな「3大トラップ」を検証します。
第1の誤解は、「雨の日の上高地は景色が見えず行く価値がない」という言説です。確かに穂高連峰の主峰群は雲に覆われがちですが、雨の日こそ梓川の青さが際立ち、山肌を流れる霧(靄)によって山水画のような幻想美が現れます。さらに、雨水を含んだ原生林の苔やカラマツの緑は晴天時以上に鮮やかさを増します。防水透湿性に優れたレインウェアとザックカバーを装備していれば、むしろ観光客が少なく、極めて情緒豊かな体験が得られます。
第2の誤解は、「帰りのバスも大正池から乗れば空いている」という思い込みです。これは極めて危険な判断です。午後の帰宅ラッシュ時、上高地バスターミナルを出発したシャトルバスは、すでに満席の状態で大正池バス停を通過することが珍しくありません。大正池の停留所で長時間乗車を断られ、最終バスの恐怖に怯える観光客が毎年後を絶ちません。帰りのバスは必ず始発点である「上高地バスターミナル」から乗車することが鉄則です。
第3の誤解は、「ゴミ箱が現地各所にある」という勘違いです。上高地では1960年代から「美化運動・ゴミ持ち帰り運動」が徹底されており、河童橋周辺を含め、公衆のゴミ箱は一切設置されていません。売店で購入した軽食の包み紙やペットボトル、ティッシュペーパーなどはすべて自己責任で持ち帰る必要があります。ジッパー付きのビニール袋やゴミ袋を持参することは、上高地を歩く上での最低限のマナーです。