吾峠呼世晴先生が善逸の最終奥義に「火雷神」という名前を選んだ背景には、日本神話の元ネタと作品のテーマ性が見事なまでに一致している点が見て取れます。
まず第一に、神話において火雷神が「イザナミの胸」から生まれたことと、善逸が「胸の奥底に秘めた情熱と覚悟」から生み出した技である点が重なります。善逸は普段、臆病で泣き虫なキャラクターとして描かれますが、大切な人を守る瞬間には誰よりも熱い情念を胸に灯します。
第二に、獪岳が使用する「黒死牟の血によって強化された黒い雷」との対比です。神話の八雷神には「黒雷(腹)」と「火雷(胸)」が含まれており、漆黒の雷を操る獪岳に対し、善逸が放つのは黄金と炎の輝きを帯びた「火雷」でした。雷の呼吸でありながら炎(火)の属性を思わせる龍の姿をとることで、雷の鋭利さと火の爆発力を融合させた究極の技であることが視覚的にも表現されています。