信楽焼の神髄は、釉薬を掛けずに窯の中のドラマに身を委ねる「無釉焼き締め」にある。古谷和也の作る器は、荒々しくも美しい。土に含まれる成分が窯の中で化学変化を起こし、薪の灰が舞い散って器の表面で溶ける。その結果生まれるのが、エメラルドグリーンに輝く「ビードロ釉」や、重厚な「焦げ」の表情だ。
古谷の作品を前にすると、どこか原始的な生命力を感じざるを得ない。人工的な美しさではなく、自然界の現象そのものを封じ込めたかのような造形。それは、形を造る人間と、火という絶対的な自然の共同作業の産物だ。彼はただ土を捏ねているのではない。窯の中で起きる命の蠢きをデザインしているのだ。