子供の頃にこの映画を観た多くの人は、おばさんに対して激しい怒りや嫌悪感を抱いたはずだ。清太たちが持ってきた着物を米に変え、その米を自分の家族に多く分け与える姿。縁側で愚痴をこぼし、幼い兄妹を精神的に追い詰めていく冷徹な言葉の数々。スクリーンに映し出された彼女は、紛れもなく「悪役」だった。
しかし、大人になってから見返すと、その印象は一変する。彼女が求めたのは、極めて真っ当な「義務と権利」のバランスだった。働かず、家事も手伝わず、ただ居候として食事を待つ清太。おばさんの言葉は、戦時下という非常事態における「生き残るための正論」でもあったのだ。