ネット空間における「文系不要論」の盛り上がりには、インフルエンサーの発言も大きく影響しています。実業家の西村博之(ひろゆき)氏は以前から、「国費で支援するなら即戦力技術や特許を生む理系であるべき」「哲学科を出て何の仕事をするのか」といった費用対効果(コスパ)を軸にした論理を展開し、SNSで数万件規模のリポストや激論を生み出しました。
ネット上の世論を分析すると、大きく二つの陣営に分かれています。
【肯定派の主張】
「学問としての価値は否定しないが、大学進学者の7割以上が文系なのは日本の産業構造とミスマッチだ」
「資格や専門スキルが身につかないまま卒業する学生が多すぎる」
【否定派・擁護派の主張】
「目先の金儲けになる実学ばかり偏重すれば、社会の文化や批判的思考力が衰退する」
「法律、経済、心理、歴史などの教養がなければ、そもそも理系が開発した技術を倫理的に運用できない」
この対立は、「教育を投資リターンとして捉える経済的視点」と、「社会の持続性や人間性を育む基盤として捉える思想的視点」のすれ違いを浮き彫りにしています。