昭和プロレス史において最も知名度が高いマスクの一つであるデストロイヤーのマスクですが、その発祥は極めて偶発的なアイデアからでした。1962年、アメリカのロサンゼルス地区でプロモーターから「覆面レスラーとして出場してほしい」と急遽要請された際、手元に試合用マスクがありませんでした。
そこで考案されたデストロイヤーマスクの作り方は、当時の妻が持っていた伸縮性のある女性用補正下着(ウール製の白ガードル)にハサミを入れ、目と口の穴を開けて周囲を赤いフェルトで縁取るという奇抜な手法でした。頭部から首元までぴったりと密着する強烈なホールド感と、一切の表情を覆い隠す無機質な白さは、期せずして見る者に底知れぬ不気味さを与えることになります。
この偶然の産物こそが、のちに日米マット界を震撼させる「白覆面の魔王」誕生の瞬間でした。既成概念にとらわれない柔軟な発想が生んだ白マスクは、レスラー本人の圧倒的なレスリング技術と融合し、プロレス界屈指のアイコンへと昇華していきました。