1990年代初頭、日本のテレビ文化は熱気に溢れていた。その中心にあったのが日本テレビ系列のバラエティ番組『天才・たけしの元気が出るテレビ』だ。番組内の「高校生ダンス甲子園」に出場した山本太郎は、一瞬で全国の視聴者の記憶に焼き付いた。大御所タレントのビートたけしをも爆笑させたそのスタイルは、計算された芸というよりも、理屈を超えた生命力の暴走だった。
オイル塗れの体で奇声を上げ、全身で喜怒哀楽を表現する姿は、視聴者に強いインパクトを与えた。当時のテレビは表現の制約が緩やかで、若者のエネルギーをそのまま画面に撒き散らすことができた時代だ。しかし、彼が見せた動きは単なる悪ふざけにとどまらない。カメラの向こうにいる群衆を巻き込み、視線を釘付けにする技術——それは、彼が天性として備えていた自己プロデュースの才覚だったと言える。