地方創生の現場でも、「とまる」の概念が劇的な成果を上げている。かつて高速道路の新ルートや新幹線の延伸によって「単なる通過点」になってしまった地方都市が、逆転の発想で観光客を引き戻している。
ある山あいの小さな町では、車や観光バスの進入を一部制限し、徒歩での散策を必須とする「歩行者専用特区」を設けた。速度を極限まで落とさせた結果、路地裏の古民家カフェや地元の工房に観光客が長く「留まる」ようになり、地域にお金が落とされる仕組みが完成した。
短時間で有名スポットを効率よく巡る観光から、特定の場所に深く留まり、地域の人々と対話する「滞留型観光」へ。加速するインフラがもたらした空洞化を、人々は自らの意志で足を止めることで埋め戻し始めている。