トレイに乗せる客のほぼ全員が購入していくのが、店の代名詞とも言えるクロワッサンだ。仕込みから焼き上げまで3日間を費やすこの一品は、層の美しさもさることながら、食べた時の「音」がまるで違う。サクッという快音が響いた直後、包み込まれていた発酵バターの豊かな香気が一気に鼻腔を突き抜ける。
折りたたむ層の厚みをコンマ数ミリ単位で調整し、オーブンの熱風の流れを徹底的に計算。冷めてもベタつかず、焼き立ての軽やかな食感が持続する技術は、まさに職人技の結晶だ。朝食のテーブルにこれがあるだけで、一日のはじまりが少し贅沢なものに変わる。