なぜ、この小さな島でタコスがこれほどまでに独自の発展を遂げたのか。その背景には、沖縄が歩んできた複雑でたくましい歴史が存在する。
1950年代から60年代にかけて、米軍基地周辺で米兵向けに提供され始めたのが原点とされる。アメリカ人の好むタコスをベースにしながらも、手に入りやすい食材や日本人の味覚に合わせた工夫が重ねられた。結果として誕生したのが、本国アメリカにもメキシコにも存在しない「沖縄風タコス」だった。
異文化を拒絶するのではなく、しなやかに受け入れて自らの文化へと昇華させる。タコスの一かじりには、沖縄の「チャンプルー精神」がそのまま息づいている。