「大トロや中トロに匹敵するコクがあるのに、なぜこれほど手頃なのか」と疑問を抱く消費者は少なくありません。実は、重量ベースで見ると1尾数百キロのマグロから採取できる中落ちはわずか1〜2%未満にとどまり、紛れもないマグロ希少部位の一つです。
それでも店頭で安価に販売されている背景には、流通と加工の構造的な事情があります。中落ちなぜ安い理由の核心は、サクやブロックのような「定型商品」に整形できない点にあります。骨から掻き出すため形状が不揃いになり、高級寿司店や百貨店では均一な刺身として提供しにくく、市場取引では「解体時の副産物(端材)」として処理される歴史が長く続いてきました。
さらに、骨から身を外す工程に機械を使いにくく、熟練の手作業が必要となるため、大手加工場では手間を嫌って低価格で一括卸されるケースが目立ちます。つまり、味のグレードが低いから安いのではなく、「規格外の形状ゆえに付加価値を付けにくかった」という流通の都合が生んだコストパフォーマンスの結晶なのです。