一方で、相棒である大根の側にも異変が起きている。日本の夏が酷暑化し、秋の訪れが遅れる中、従来の大根品種では生育途中で病気が発生したり、スが入ったりするトラブルが多発するようになった。これに対抗すべく、農業研究所や種苗メーカーは「暑さに強い大根」の開発を急ピッチで進めている。
現在、市場に出回り始めている新世代の大根は、水分量を適度に抑えつつも、繊維が柔らかく味が染み込みやすい特徴を持つ。皮が薄く、煮崩れしにくいこのハイブリッド大根は、皮肉にも煮物料理にとっては理想的な進化を遂げていると言える。気候変動という逆境から生まれた新しい食材が、伝統の味を支えているのだ。