歴史の転換点には、決まって左利きの異才が存在していた。理論物理学の概念を根本から覆したアルベルト・アインシュタインはその代名詞と言える。彼の脳標本を調査した研究では、左右の半球を結ぶ脳梁が異常なほど発達していたことが知られている。また、芸術・建築・解剖学など多岐にわたる分野で人類史上最高峰の業績を残したレオナルド・ダ・ヴィンチも、鏡文字を自由自在に操る生粋の左利きだった。彼らについて書かれた人物伝記を紐解くと、幼少期から独特の視線で世界を捉えていた形跡が色濃く残されている。
そして現代、その系譜はスポーツ界にも鮮やかに受け継がれている。ロサンゼルス・ドジャースで投打の二刀流という前人未到の領域を突き進む大谷翔平は、右投げ左打ちというスタイルで世界の野球ファンを熱狂させ続けている。投手としての投球動作と、打者としてボールを捉える圧倒的な空間認知力。右脳と左脳を高度にハイブリッド運用する姿は、かつての偉人たちが発揮した「非対称な才能」と不気味なほど共鳴している。