川島道行の音楽人生は、常に病との対峙でもあった。最初に脳腫瘍が見つかったのは1997年のこと。それ以来、生涯で計5回に及ぶ再発と手術を乗り越えてきた。症状が進むにつれ、言語障害や手足の麻痺が彼を襲ったが、音楽への情熱が潰えることはなかった。
2016年6月にリリースされたラストシングル『LAY YOUR HANDS ON ME』は、まさに彼が命を削って作り上げた遺作だ。まともに歩くことも、言葉を発することも容易ではない身体状況でありながら、スタジオに入り音を重ね続けた。相棒である中野雅之は「これがBOOM BOOM SATELLITESの最後の作品になる」と覚悟を決め、川島の意志を音として形にした。
制作完了後、中野はバンドの活動停止を発表。「川島道行はステージを降り、家族と共に穏やかな時間を過ごしている」という報告は、彼の最期が近いことを静かに物語っていた。音楽に人生のすべてを注ぎ込んだ天才が遺した最後のメッセージは、言葉を超えた音のエネルギーとして今も世界中に届いている。