事故の直接的な引き金となったのは、当時43歳だった運転手によるバス運転手の過労と居眠り運転でした。運転手は事故直前の記憶が途切れており、衝突の瞬間に至るまで居眠り状態に陥っていたことが捜査で判明しています。
なぜ運転手は、乗客の命を預かる高速道路上で睡魔に抗えなかったのか。その背景には、人間の肉体的な限界を無視した過酷な勤務実態がありました。運転手は事故前日までの連日連夜にわたり過密スケジュールで長距離運行に従事させられており、慢性的な睡眠不足と疲労が極限状態に達していました。
さらに、運転手は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがあったにもかかわらず、会社側は適切な健康診断や専門医の受診を怠っていました。運行前の対面点呼すら行われておらず、運転手の体調不良や疲労蓄積を見抜くセーフティネットは完全に機能不全に陥っていたのです。