広場恐怖症の多くは、パニック障害をきっかけに発症する。何の前触れもなく襲いかかる激しい動悸、めまい、過換気症候群。「このまま死んでしまうのではないか」という強烈な死の恐怖が心身を打ちのめす。
一度この地獄のような発作を経験すると、脳は「発作が起きた場所や状況」を恐怖の対象として強烈に記憶する。「またあのスタジオで発作が起きたらどうしよう」「新幹線の中で倒れたら番組に穴をあけてしまう」。この「予期不安」こそが行動範囲を極限まで狭め、家から一歩も出られない状態へと追い込んでいくのだ。
分刻みのスケジュールで全国を移動し、常に大勢の視線に晒される有名人にとって、移動手段や仕事場そのものが恐怖の対象になることは、事実上の休業通知に等しい。日常が突然奪われる絶望感は、計り知れない。