オフィスや住宅のインテリアに木材を大量に取り入れる「バイオフィリックデザイン(生命愛好型デザイン)」の普及も加速している。単なる意匠的な流行ではない。脳科学や予防医学のデータが、木質化された空間が持つ驚異的な生理的効果を裏付けたからだ。
最新の研究によれば、視界に入る内装の約30〜40%が木目に覆われた環境では、人間の交感神経の過剰な緊張が緩和され、副交感神経が優位になることが実証されている。脈拍の安定、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌低下、さらには集中力の持続時間の延長など、身体へのポジティブな反応は顕著だ。
画面越しの視覚情報だけに依存し、触覚や嗅覚を急速に失いつつある現代人にとって、木材が発する独自のフィトンチッド成分や微細な表面の凹凸、穏やかな調湿作用は、五感を静かに再起動させる特別な「薬」として機能している。