イタリア料理の根底にあるのは「素材の良さをいかにシンプルに引き出すか」という郷土の哲学だ。伊勢志摩はこの思想と完璧に合致する。2026年のトレンドは、豪華食材をただ並べるだけの過飾からの脱却だ。
例えば、朝獲れの答志島産サワラ。皮目だけを熾火(おきび)でパリッと焼き上げ、地元のハーブと自家製オリーブオイルのソースで仕上げる。口に入れた瞬間に広がるのは、伊勢湾の潮の香りとハーブの爽快感。過度な重いソースで覆い隠すことはしない。素材そのものが持つ力強い生命力を、イタリアンの技法で解き放つ。これこそが、現在の伊勢スタイルだ。