だが、東京の洗練されたマンションで飾られている個体の多くが、元々はアフリカ大陸の東に位置する島国マダガスカルの荒野から剥ぎ取られてきたものだという現実は重い。
現地からの報告は生々しい。南部の乾燥地帯において、自生するグラキリスは何十年、時には数百年という時間をかけてゆっくりと成長してきた。しかし、日本をはじめとする国際市場での需要急増に伴い、現地住民や密売業者による大規模な違法採集が横行。かつては見渡す限り広がっていた自生株が、一部の保護区を除いて壊滅状態に追い込まれている。
現地で環境保護活動を行うNGOスタッフは声を落とす。「地元の人が生活苦から数十ドルで売り渡した株が、東京やパリの市場では何千ドルもの高値で取引される。奪われているのは植物の命だけでなく、マダガスカルの生態系そのものです」。