可憐で優しい女性像からの鮮烈な脱皮を果たしたのが、代表作の一つ『ストロベリーナイト』だ。警視庁捜査一課の主任・姫川玲子役を務めた作品で、過去のトラウマを抱えながらも男社会の警察機構で孤高に立ち向かう凄絶な姿を体現した。従来のサスペンス・刑事ドラマにおけるヒロイン像を根本から打ち破る、鋭い眼光と狂気を孕んだ演技は、視聴者の度肝を抜いた。
赤いバーキンをトレードマークに、事件の真相へと泥臭く迫る姫川の情熱。時に冷徹で、時に圧倒的に人間くさい。その多面的なキャラクター造形は、テレビドラマ史に残る「強き女性像」を生み出した。可憐さと重厚なサスペンスを完璧に融合させた変幻自在の演技幅こそ、第一線で活躍し続けた表現者の真骨頂であった。