他人の視線が障壁となり、温泉を諦めざるを得ない人々もいる。乳がんの手術痕や、アトピー性皮膚炎、乾癬(かんせん)などの皮膚疾患を持つ人々だ。これらは他人に感染する病気ではないにもかかわらず、浴場内での無遠慮な視線や、時には他客からの心ない言葉に傷つき、足が遠のいてしまう。
近年は「入浴着」と呼ばれる専用の肌着を着用しての入浴を認める自治体や施設が増えている。しかし、周囲の認知不足から「服を着たまま湯船に入っている」と誤解され、トラブルになるケースは後を絶たない。制度としての許可と、現場での受容には、まだ大きなギャップが存在する。