今年7月の広島県大会は、まさに波乱と劇的ドラマの連続だった。ノーシードからノーブルスタッドを駆け上がってきた福山勢は、下馬評をことごとく覆してみせたのだ。
とりわけ圧巻だったのは準決勝と決勝戦での戦いぶりだ。最速148キロを誇る相手エースの直球に怯むことなく、粘り強いファール打ちで球数を投げさせ、終盤に怒涛の集中打を叩き込む。華々しいホームランに頼るのではない。転がる泥臭いゴロ、間一髪の盗塁、一瞬の隙を突く走塁で1点をもぎ取る。かつて大ざっぱと言われることもあった地域の野球は、守備と走塁を磨き上げた極めて隙のない精鋭集団へと進化を遂げていた。