「9回裏2アウトからが高校野球」——かつて多くの名勝負を生んだこの標語が、コールドゲームの存在によって霞んでしまう瞬間がある。ベテラン監督たちは、点差が開いた場面での特有の重圧を口にする。
負けているチームは「あと1点取られたら7回コールドが成立してしまう」という焦燥感から、いつもの伸びやかなスイングを失う。一方、勝っている側も「このイニングで決め切らなければ投手の球数制限に引っかかる」という計算が働き、安全策に走りがちだ。土壇場でのメンタル戦において、コールドラインという「見えないタイムリミット」は、監督たちの采配を激しく揺さぶり続けている。