本編にないシーンがここまで世界的な共通認識となった最大の要因は、公開当時に世界中で展開された公式ポスターのビジュアルにあります。宇宙空間を背景に、青白く光る少年の指と、暖色に光るE.T.の指先が触れ合おうとするあの伝説的なグラフィックです。
このポスターを手掛けたのは、ハリウッド屈指のイラストレーターであるジョン・アルヴィン氏です。デザインの元ネタとなったのは、ルネサンス期の巨匠ミケランジェロがシスティーナ礼拝堂の天井に描いた名画『アダムの創造』でした。神が最初の人間に生命を吹き込む瞬間を描いた構図をオマージュし、「人知を超えた存在と無垢な少年との精神的交感」を1枚の絵で表現するために創り出された特注のキービジュアルだったのです。映画本編を象徴するシンボルとして完璧すぎたがゆえに、ポスターのイメージが観客の脳内で本編の映像として上書きされていきました。