最愛の母の命日となった1999年3月17日以降、安室さんは深い絶望と精神的ショックから、一時は芸能界からの引退を本気で考えたといいます。「歌う意味を見失ってしまった」と語るほど憔悴しきっていた彼女を再び奮い立たせたのは、生前の母と交わした「ファンを大切にし、プロとして歌い続ける」という約束、そして生まれたばかりの我が子の存在でした。
事件からわずか12日後の3月29日、フジテレビ系『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』の生放送で仕事に復帰。毅然とした態度でカメラの前に立ち、気丈にパフォーマンスを披露した姿は、多くのファンの胸を打ちました。
その後、安室さんは自らの左腕に母への追悼と永遠の愛を誓う英文のメッセージ、そして息子の名前である「HARUTO」のタトゥーを刻みました。
“JUN.30 in 1995 my mother's love was put to sleep Cry day, cold night, Fear not, Be strong, And keep on laughing, life goes on”
(1995年6月30日、私の母の愛は眠りについた。泣いた日、凍える夜、恐れるな、強くあれ、そして笑い続けなさい。人生は続いていく)
刻まれた1995年6月30日は母の再婚記念日であり、苦難を乗り越えて生きる決意表明でした。後に息子が成人を迎え、自らの役割を一区切りさせたタイミングでタトゥーは綺麗に消去されましたが、母への感謝の想いは生涯消えることはありませんでした。