「ガチムチ」という言葉は、骨格が太く筋肉質な体躯を表す「ガッシリ(あるいは本気を意味するガチ)」と、適度に皮下脂肪が乗って弾力がある肉付きを指す「ムチムチ」が組み合わさった造語です。単に筋肉がついているだけでなく、「十分な厚みのある脂肪の下に強靭な筋肉が張り巡らされている状態」を指すのが本来の定義です。
この言葉がメディアや大衆文化の表舞台へ浮上する過程には、特徴的なサブカルチャーの変遷が存在します。もともとは1990年代の男性向け風俗誌やゲイカルチャー誌(『G-men』等)において、体格の良い男性のタイプ分類として用いられていた専門用語でした。
決定的な転換点となったのは、2007年から2008年にかけての「ニコニコ動画」を中心とする動画共有サイトの爆発的ブームです。元モデルのビリー・ヘリントン氏を象徴とする海外の肉体派タレント動画が「レスリングシリーズ(通称:兄貴動画)」として一大ミームと化し、ネットスラングとしての「ガチムチ」は一気に若年層へ浸透しました。
当時のネットコミュニティでは一種のネタとして消費されていた側面が強いものの、2010年代半ば以降のフィットネスブームやラグビー日本代表の躍進を経て、そのニュアンスは大きく変化しました。現在では「頼りがいのある屈強な体型」「健康的で男らしい魅力的な肉体美」を表すポジティブな一般形容詞として完全に定着しています。