手紙や個人のブログ、小説などで広く親しまれている「喋る」「お喋り」ですが、文化庁が定める「常用漢字表(2,136字)」には「喋」の文字が含まれていません。いわゆる「表外漢字(表外字)」に該当します。
この事実が何を意味するかというと、行政機関が発行する公用文、学校教育の教科書、そして日本新聞協会に加盟する報道各社の記事において、「喋」の漢字は原則として使用が制限されているということです。大手メディアの校閲記者や用語担当者が遵守する『記者ハンドブック』等の規範でも、「おしゃべり」「しゃべる」とひらがな表記で統一するか、ルビ(振り仮名)を伴う特別な引用に限定する運用が徹底されています。
実務的なライティングやオフィシャルな資料作成においては、「お喋り」と漢字を当てるよりも、あえて「おしゃべり」とひらがなで表記する方が、公的基準に則ったスマートな選択となります。漢字の多用が必ずしも文章の知性を高めるわけではないという点は、大人の教養として押さえておくべきポイントです。