八幡竈門神社を訪れた際に絶対に見落とせないのが、境内に息づく象徴的なスポットの数々です。実際に現地を歩くことで、伝承の息吹を肌で感じることができます。
参道にそびえる「鬼が造った九十九石段」は、その筆頭です。里人を喰らっていた鬼に対し、八幡神が「一晩で百段の石段を造れたら里人を喰ってもよいが、できなければ里を去れ」と難題を課したと伝わります。鬼は猛烈な勢いで石を積み上げましたが、99段目を積んだところで夜が明けてしまい(神様が夜明けを早めたとも言われます)、驚いて逃げ去ったという伝説の石段です。不揃いな自然石で組まれた石段からは、鬼の焦りや迫力が今にも伝わってくるかのようです。
拝殿の天井を見上げると、そこには見事な「龍の天井画」が描かれています。水神様として崇められてきたこの龍は、青を基調とした躍動感あふれる筆致が特徴で、水の呼吸の奥義や神楽の舞を連想させると絶大な人気を博しています。
さらに、石段を登りきった場所には鬼が逃げる際に脱ぎ捨てたとされる「鬼が忘れた石草履(重ね石)」が鎮座しています。この石草履に自分の足を合わせて祈願すると、鬼の怪力を分けてもらい足腰が強くなる、健康に恵まれるという言い伝えが残っています。
境内奥には、樹齢約500年を誇る御神木「魂依の木(たまよりのき)」がそびえ立っています。幹の中に入って参拝できる貴重な巨木で、生命の力強いエネルギーを間近で体感できる場所として親しまれています。