鏡を凝視したときに確認できる「小さな白い粒」や「平らな黄色い隆起」。痛みがないからといって放置されやすいこれらの異物には、それぞれ全く異なる病態が存在します。
まぶたの白いできものの正体として外来で頻繁に確認されるのが、マイボーム腺梗塞と稗粒腫(はいりゅうしゅ)です。
まつ毛の生え際よりもわずかに内側、粘膜との境界に並ぶ小さな点状の脂腺開口部に、白から淡黄色のバターのような塊がポツリと詰まっている場合、それはマイボーム腺梗塞の可能性が極めて高くなります。分泌された皮脂が酸化・変性して固形化したもので、加齢や脂質の多い食生活、アイラインによる毛穴の閉塞が引き金となります。放置すると異物感を生じ、角膜を傷つけるリスクがあるため注意を要します。
これに対し、まぶたの皮膚表面に直径1〜2ミリ程度の硬い乳白色の粒ができるのが稗粒腫です。毛包や皮脂腺の未発達な組織の中に角質が閉じ込められた良性の小嚢胞で、新陳代謝の乱れや小さな擦れ傷などをきっかけに発生します。稗粒腫は自然に脱落することもありますが、皮膚が薄いまぶたでは長期間留まる傾向があります。
さらに、目頭周辺のまぶたに平たく黄色いシート状の隆起が現れた場合、眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ)が疑われます。これは真皮内にコレステロールを貪食した組織球が集積したもので、中年以降に好発します。痛みや痒みはありませんが、背景に脂質異常症(高脂血症)が隠れている確率が高く、単なる皮膚トラブルに留まらない全身の動脈硬化リスクのシグナルともなり得ます。