「例年なら10月第1週に満開を迎えるはずが、つぼみのまま足踏みを続けている」――都内の造園業者からそんな困惑の声が聞こえてきた2026年の秋。日本列島を襲った夏の長期猛暑は、樹木たちの体内時計を大きく狂わせた。
植物生理学の知見によれば、キンモクセイやギンモクセイは夏場に花芽を形成した後、秋口の一定の気温低下(おおむね20℃前後)を感知して一気に開花へと向かう。しかし、秋に入っても夜間の高気温が続くと開花スイッチが入らない。その結果、一旦気温が下がったタイミングで一部の花が咲き、その後の気候変動で残りの花芽が遅れて開く「二度咲き(狂い咲き)」現象が多発している。
「今年は香りを2回楽しめる」と好意的に受け止める市民がいる一方で、一度の開花期間が短くなり、雨や強風であっけなく散ってしまうケースも目立つ。地球温暖化がもたらすこの微小な変化は、都市の景観や季節の情緒そのものを変容させつつある。