Q1:原作小説と映画で、石神哲哉の設定にどのような違いがありますか?
A1:最大の違いは外見描写です。原作の石神は頭髪が薄く、丸顔でずんぐりとした中年男性として描かれていますが、映画では長身で引き締まった体躯を持つ堤真一が演じています。また、原作にある論理的な独白の一部が、映画では表情や視線の芝居に置き換えられているほか、湯川と石神の雪山登山のシークエンスなど、映画ならではのダイナミックな対峙シーンが追加されています。
Q2:ラストシーンで石神が泣き叫ぶ場面は、堤真一のアドリブだったのでしょうか?
A2:完全なアドリブではありませんが、感情の表出方法については堤自身の身体感覚に委ねられた部分が非常に大きかったと語られています。脚本に記された「慟哭」というト書きに対し、堤は計算ではなく、その場の空間と松雪泰子の芝居に反応して魂の叫びを絞り出しました。監督の西谷弘もそのテイクの凄まじさに息を呑み、最小限のカット割りで堤の感情の爆発をそのままスクリーンに収めました。
Q3:日本アカデミー賞で最優秀賞ではなく「優秀助演男優賞」だったのはなぜですか?
A3:日本アカデミー賞の制度上、各部門のノミネート者全員にまず「優秀賞」が授与され、その中から1名のみが「最優秀賞」に選ばれる仕組みとなっています。第32回日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞は映画『おくりびと』の山﨑努が受賞したため、堤真一は優秀賞にとどまりましたが、同年の『報知映画賞』では見事に助演男優賞を受賞するなど、映画界全体から極めて高い評価を獲得しました。