2006年末、人気絶頂にあった若槻千夏は突如として芸能活動を大幅にセーブし、事実上の休業状態に入りました。当時、ネット上や週刊誌では「事務所との確執」「干されたのではないか」といった無責任な憶測が飛び交いましたが、報道各社の取材や本人の後の手記・インタビューによって明かされた休業の本当の理由は、深刻な体調不良と過度な精神的重圧でした。
当時、過密スケジュールと「テレビで求められる過激なキャラクター」を演じ続ける重圧から、重度の神経性胃炎や体調不良を発症。本人は当時の心境について、「自分の言葉で喋っているはずなのに、テレビ用の自分に消費されて心が追いつかなくなった」と率直に告白しています。芸能界の第一線から身を引くという決断は、彼女自身の心と体を守るための切実な防衛策でした。
休業中、若槻は単身アメリカ・ロサンゼルス等へ渡り、趣味であった古着の買い付けやファッションの現場をゼロから学び直しました。そして2009年、自身がプロデュースするアパレルブランド「w♥c(ダブルシー)」を設立。自身が生み出したオリジナルキャラクター「クマタン」は若者を中心に爆発的なブームを巻き起こし、海外展開も含めて年商数十億円規模のビッグビジネスへと成長しました。
しかし、ビジネスの規模が拡大するにつれ、自身のデザイン思想と企業経営の方向性との間に生じたギャップを受け止め、2013年には同ブランドのデザイナー・プロデューサーを退任。安易に過去の成功に固執せず、引き際を自ら見極める決断力も、彼女がただのタレントにとどまらない理由の一つです。