パラコードのカラー選びにおいて、多くの人が見落としがちなのが「カラーと耐久性・編み心地の相関関係」です。「色が違うだけで中身はすべて同じ」という認識は、正確ではありません。
一般的なType III 550パラコードは、7本の内芯(インナーコード)を32本の外皮糸で編み上げた二重構造になっています。ここで重要なのが、染料の定着度合いによるコードの硬さの違いです。深いブラックやダークネイビーなどの濃色染料を大量に使用したコードは、ホワイトやナチュラルなどの未染色・薄色コードに比べて、繊維がわずかに硬化する傾向があります。編み込む際の引き締めやすさや手触りに微妙な差が生まれるのはこのためです。
また、「柄入りコード」と「単色コード」では、編み上げた際の断面形状の潰れ方に差が出ます。カモフラ柄や多色ストライプ柄は、外皮糸に異なる太さや張力の糸が混在する場合があり、平編みした際に単色よりも若干肉厚で武骨な仕上がりになります。スマホストラップのように肌当たりを滑らかにしたい場合は、単色のソフトナイロンコードを選択するのが技術的な正解です。
さらに、安価なノーブランド品に多い「ポリエステル100%コード」は、発色こそ鮮やかですが、末端処理の焼き止め(ヒートカット)時に黒く炭化しやすく、溶け固まった樹脂が鋭利に固まるリスクがあります。一方、高品質なナイロン製コード(Atwood Rope等)は、熱を加えると均一に透明感をもって溶融し、強固で美しい焼き止めが可能です。作品の完成度と耐久性を左右する隠れた重要ファクターと言えます。