ポピュラー音楽以前に、米国の音楽シーンで「日本人=一流の表現者」という認識を植え付けたのは、クラシック界とニューエイジ界の巨匠たちでした。
小澤征爾:80歳で掴んだ「最優秀オペラ・レコーディング賞」の重み
ボストン交響楽団の音楽監督を29年間にわたり務めるなど、世界のクラシック界を牽引した指揮者・小澤征爾氏。長年にわたり幾度もグラミー賞にノミネートされながらトロフィーに手が届かなかった巨匠が栄冠を手にしたのは、2016年(第58回)、80歳の時でした。
受賞作となったラヴェル作曲の歌劇『こどもと魔法』は、長野県松本市で開催された「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」でのライブ録音です。過酷な闘病生活を乗り越え、タクトを振った小澤氏の繊細かつ躍動感あふれる指揮、そして世界最高水準の演奏家が集ったオーケストラの熱量が、そのままパッケージに封じ込められていました。関係者の証言によると、「音楽に対する妥協なき情熱が録音の空気感そのものから伝わってきた」と投票会員の間で圧倒的支持を集めたとされています。
喜多郎:10回以上のノミネートが示すニューエイジ界での絶対的地位
シンセサイザー音楽の先駆者である喜多郎氏は、1980年代からアメリカを拠点に活動し、ゴールデングローブ賞作曲賞を受賞するなど国際的な名声を確立していました。グラミー賞においては「最優秀ニューエイジ・アルバム賞」の常連として通算10回以上のノミネートを記録。2001年の第43回グラミー賞において、アルバム『Thinking of You』で悲願のトロフィーを手にしました。自然界の息吹を電子楽器で紡ぎ出す独自の音世界は、西洋のクリエイターにはない独自の瞑想的空間を提示し続けています。