卒業時に自衛官(幹部候補生)にならない「任官辞退者」の問題は、たびたび国会やメディアでも議論の的となります。防衛大学校で受ける教育や給与はすべて国民の税金で賄われているため、「税金の無駄遣い」という厳しい批判に晒されることも少なくありません。
防衛省では諸外国の士官学校を参考に「学費償還(ペナルティ返還金)制度」の法制化が長年議論されてきましたが、現行法規上、卒業と同時に民間就職を選ぶこと自体を法的に完全に禁止することはできません。任官辞退者は毎年30〜40名程度(全体の約1割弱)発生しており、その主な就職先には外資系コンサルティングファーム、総合商社、メガバンク、大手メーカー、IT企業などが並びます。
民間企業の採用担当者から見ると、防衛大生が持つ「強靭な体力」「極限状態での規律性」「集団を束ねるリーダーシップ」「高い知的水準」は極めて魅力的な資質と映ります。キャリアの転換を図るハードルはあるものの、民間就職市場における評価は非常に高いのが現実です。
また、女子学生の生活実態にも大きな変化が見られます。かつてはごく少数だった女子学生ですが、現在は全体の約10〜15%を占めるまでに増加しました。女子専用宿舎のセキュリティ強化やプライバシー保護、教官の意識改革が進み、女性幹部自衛官としての活躍の場もパイロットや護衛艦の艦長などへ全方位に拡大しています。訓練内容そのものは男子とほぼ同等の過酷さですが、過度な性差による不利益を排除する環境整備が進んでいます。